盛日和

日記のようなもの

映画「偶然と想像」を見に行ってきた

※ネタバレを少し含んでいます。映画館へ行く前にこのブログを読んでもそんなに影響はないと思いますが、各人で用法・用量ご注意願います。

こんばんは。今日も今日とて、Bunkamuraル・シネマ(東京・渋谷)へ映画を見に行ってきました。今回は、私の信頼する映画通のひとり、ねりまさんがツイートでご紹介されていた作品です。

ググれば「偶然と想像」、「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督やん!と気づきました。「ドライブ・マイ・カー」は正直私の理解の範疇を超えていたけれど、いつかこの世界観をわかる人になりたいなって思える大人な作品だったのね。だから、今回も(少しハードルは感じてはいたけれど)思い切って見に行ってみることにしました。

見る前に抱いていたハードルは杞憂に終わりました。短編映画で短い映画が3つ連なっているという構成です。しかし、タイトルにある「偶然性」が通奏低音として聴こえてくるような作品でした。

一番面白かったのは、第2話の「扉は開けたままで」です。見に行った人にアンケートを取ると、おそらくこの話に大多数の票が集まるのではないでしょうか。会場でクスクス笑う人多数。そんなコミカルな話でした。第3話は僕にはあまり刺さらなかったけれどつまらなかったわけではないです。

今回言及したいのは、第1話「魔法」です。親友同士という二人の女がタクシーの後部座席に座っています。一人の女が最近会った男ののろけ話をしていて、もう片方がそれをうんうんとうなずきながら聞いているというシーン。そこで「(その男との会話)もはやエロくない?」みたいな会話があって、面白いなと思いました。

行為や行動あるいは体のパーツ等について、それを「エロい」とするのは割と一般的なのかなと思います。しかし、彼女らが「エロい」としたのは、会話のシチュエーションや会話のやり取りそのものについてでした。

固定化したもの(=行為や体など)ではなく、流動的なもの(=会話)をエロいという形容詞でもって表して、しかもそれを両者が共感していた。これが面白いと思いました。

私が記憶している範囲で言うとこんなセリフがありました。「私、これまで誰にも話したことないようなことまで彼に話していて。お互いをまさぐっているような、そんな感じだったのよ」「えーそれエロい」。これだけ読めば陳腐に思えるかもしれませんが、あの夜のタクシーでのシーンは妖艶でした。艶っぽい女性の魅力が詰まった感じ。

以上の感想は、映画の局所中の局所についてしか語っていないので(つまりこの映画の魅力の一部分にしか言及していないので)、この映画の総論を知りたい方はほかのブログ等をあたったほうがよいかと思います。いずれにせよ、とっても面白くてクスクス笑えて年末を飾るにふさわしい映画だったと私は思います。

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